It's okay to be weird

Takayuki Nagatomi's blog

本 『非道に生きる』 (園子温) を読んだ。

園子温監督作品は『愛のむきだし』と『ヒミズ』しか観たことがないのだけど、その二作品からだけでもその異端さは垣間見れた。この本はそんな「非道に生きる」園子温が自らの言葉で語った、あとがきから引用すると、「撮影の合間などに刹那的に」作った本。

破天荒なエピソード

とにかくその破天荒な生き方に魅了された。小学校の時には「なんで服を着て学校に行かなきゃいけないんだろう」と思い、フルチンで教室に入っていったり、17歳で家出して上京した先で出会った女とホテルに行くと、「植木バサミで切りあって死のう」と言われたり、飯を食うために宗教団体と左翼に入ったこともあったりと、枚挙にいとまがない。一つ一つのエピソードがそれだけで映画になりそうな話ばかりだが、実際にこういった体験を無駄にせず作品 (『紀子の食卓』など) に生かしているところが素晴らしい。

型破りな映画の広告

誰にも知られないのでは作っても無駄という考えに基づいた、インディーズ時代の広告の仕方も面白かった。ドラマのロケ地になりそうなところにチラシを貼ったり、映画のトークショーのあとの質疑応答の時間に監督を前にして作品をけなしたあと、自分の映画の宣伝をしてしまったり。

「東京ガガガ」はフラッシュモブのはしり?

ハチ公前を20人で爆竹を鳴らしながら旗を掲げて突如占拠するところから始まり、最終的には口コミで広がってメンバーが2000人にもなった、「東京ガガガ」という今でいうとフラッシュモブに繋がるんじゃないかというような運動もよかった。今でも『ファイト・クラブ』的に税務署や警察、ヤクザの中にその仲間たちが散らばっているのだとか。

日本映画に対する批判と人間としての生き方

ガラパゴス化した日本映画に対する批判や、人間としての生き方を語っている第4章には特に惹きつけられた。最近主流の製作委員会方式というのは政治にたとえるなら民主・自民・公明の「3党合意」のようなものという例えにはなるほどと思った。映画の過激さを去勢して予定調和的なものにしてしまうのだとか。

生き方に関しては次の一文が心に残った。

まずは自分の表現を面白がることができるかどうか。自分が面白いと思えば、少なくとも一人は面白がっているということになる。つまり自分という人間一人は、少なくとも自分のことを面白かっている、絶対に確実な「一人目のお客さん」だと思うのです。

これはアプリ制作でも参考になりそう。ともすればトレンドばかりに流されて、いったい何を作りたいのか見失ってしまうこともあるだろうし。

まとめ

いやあ、とても面白かった。最近読んだ中ではベストかもしれない。監督作品をもっと観てみたくなった。最新作の『地獄でなぜ悪い』はエンタメ性の高いアクション映画になるそうなので楽しみ。
型に縛られがちな日本人が多い中で、こういう人がいるってだけで勇気がわいてくる。僕も道なき道を切り拓いて生きていきたい。

非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)

非道に生きる (ideaink 〈アイデアインク〉)